デザイラストレーターの演劇もろもろレポ

本のこと、物語のことを考えているフリーランス/デザイラストレーター。 高等学校教諭免許(国語)保持 主に読んだ本のことや舞台観劇レポ。 ◆Twitter @mei_le20

消えた精神安定剤さがしものは…

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あなたには、これがなくちゃ作業ができない

といったアイテムはありますか??

 

わたしは、あります。

 

多機能ボールペン。

 

ジェットストリームFシリーズ

 

これ!これである。

一度は書店などの文房具売場でみかけたことがあるだろう。

 

何かものを書く時、いや、書かないときでも視界にこやつがいないとそわそわする。

 

電車内で居眠りして頭をぐらつかせてるおじさんを気にするみたいに、そわそわする。

 

なんといっても、そのなめらかさ。

インクがダマになることも少なく、ストレスなく滑らかに紙をなでる書き心地。

そして、なくしてもお手軽に購入できる価格。

もちろん替え芯は常備だ。

赤・黒・青と3色で色分けも得意のもの。

 

大学進学を機にシャープペンシルを卒業し相棒となる一本を探していた時に出会った。

なかなかに長い付き合いになってきた。

浮気はしていない。

予定もない。

 

黒のボディのキミは、今持っているもので3本目だったか…

 

…が、

 

んが。

 

いま現在どこにもいない。

昨日までは一緒にいたのに。

「かばんの中も机の中もさがしたけれど見つから」な…い…

 

もう、気が気でない。

そわる。めっちゃそわる。

代替のボールペンをペンケースから発掘しても

しばらく使用していないからインクがのろい。

 

弘法筆を選ばずな人間でいて、どんなものでも安定して作業に当たれたほうが精神的に良い気がするけど、いかんせん「こだわり」が人間にはあるのさ。

 

 

 

 

「探すのをやめたとき、見つかることもよくある話で…」なんて頭の片隅に流しつつ、何代目かのキミを見つけに行きます…か。

 

 

 

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新元号だし、新年度だし、4月だし、

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マフラーのないすっきりとした首元。

春が来た。

ついでに新元号もやって来た。

 

出かける用事があるけど、そわそわとラジオに耳を澄まして

「11:30」を待った。

 

あぁ、もういいや

と思いながら、イヤホンをさして外に出る。

 

信号を渡る。

『新しい元号は、〓イワ』

うわぁ、、

車のクラクションで聞きそびれたぁ……!

立ち止まって急いで音量を上げる。

 

「レイワ」

 

れいわ

 

令和

 

出典が万葉集とわかってすこし嬉しくなる。

日本最古の歌集。4200首。

高校の時死ぬほど覚えたデータが蘇る。

 

駅のホームに向かうとみんなスマホに顔を落として

画面を見ている。

 

いつもならなんでもない光景。

でも、ひょっとして、このニュースを同時に共有しているかもしれない、

そんなことを考えていたら、どうにも楽しくなってきちゃって、

 

いま、あなたも、ニュース見てましたの??

新しい元号、れいわ って決まりましたってね。

 

なーんて、声をかけたくなってしまった。

…まぁ、かけないけど。

 

日本中の人が同じ出来事にそわそわして

おどろいたり、感慨にふけったりするのは、

なんだか、あったかい。

 

 

風がふくと、やっぱまだ少々さむかった。

 

 

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#ネゴT2 舞台「the Negotiation」ネゴシエイション 観劇レポ  

舞台「the Negotiation」T-WORKS #2

池袋 シアターグリーン

 

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 (おちゃめにピースをする森下亮さん ^^ )

カーテンコール時撮影OKでした。

期待を裏切らない緻密な台詞劇

客席に座るとそこには、木組みの机といすが配置されていた。

開演時間となりホテルラウンジの静かな音。

舞台が少しずつ暗くなりわたしたちを高級ホテルへと誘う。

 

ウォーレン(森下亮さん)、アリソン(山崎和佳奈さん)、スティーブン(村角太洋さん)がかっちりとしたスーツで登場し、すべりのいい台詞たちが滔々と流れた。

すると、木組みのつくえはあしらいのある立派なつくえに、同じく木組みの椅子は、ベロア生地の猫足椅子に早変わりしてしまった。

 

役者の方々の立ち振る舞い、照明、音…それらの要素が集まるとあっという間に世界が変わってしまう。まさに演劇の醍醐味!☺

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映画『翔んで埼玉』 あらすじ・レビュー 

誘われて、映画『翔んで埼玉』見てきました(^^)/

「パタリロ!」で有名な魔夜峰央 原作

原作未読の率直な感想などをお話ししていきます。

 

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あらすじ・キャスト

埼玉県の農道を、1台のワンボックスカーがある家族を乗せて、東京に向かって走っている。
カーラジオからは、さいたまんぞうの「なぜか埼玉」に続き、DJが語る埼玉にまつわる都市伝説が流れ始める――。

その昔、埼玉県民は東京都民からそれはそれはひどい迫害を受けていた。
通行手形がないと東京に出入りすらできず、手形を持っていない者は見つかると強制送還されるため、埼玉県民は自分たちを解放してくれる救世主の出現を切に願っていた。

東京にある、超名門校・白鵬堂学院では、都知事の息子の壇ノ浦百美(二階堂ふみ)が、埼玉県人を底辺とするヒエラルキーの頂点に、生徒会長として君臨していた。

果たして埼玉の、さらには関東の、いや日本の未来はどうなるのか――!?(公式ホームページより)

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舞台「唐版 風の又三郎」観劇レポ2 ところどとろ考察 

唐版 風の又三郎 Bunkamuraシアターコクーン

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再び観劇に行きました。

前回分からなかったこと、戯曲を読みながらずっと考えていたこと、

そんな「あれあれあれら」を楽しみに足を運びました。

 

***

次の展開が分かっているのに、前回と全く違う。

つくづく、舞台は生ものだなと思う。

 

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舞台「唐版 風の又三郎」観劇レポ わからない面白さ

Bunkamura シアターコクーン「唐版 風の又三郎」

演出:金守珍

 

※一度しか観劇していないので、解釈違いがあるかと

思いますが、ご了承ください<(_ _)>

 

唐 十郎作品2度目の観劇。

6年前の「唐版 滝の白糸」以来。

 

精神病院から逃げてきた青年 オリベ(窪田正孝)と

宇都宮から流れてきたホステスのエリカ(柚希礼音)が

東京の下町、月光町で出会う。

おそらく、「恋愛劇」

 

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舞台 「花の秘密」観劇レポ 女は強し

赤坂REDシアター 「花の秘密」

 

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韓国話題のコメディ作品。

舞台はイタリア北西部の小さな村。

女性4人によるドタバタコメディ。

 

コメディとシリアスが手のひらを反すように瞬間変わり、

そのテンポに戸惑ったが、この作品のリズムだと理解してからは

その素早さが病みつきになる。

 

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舞台 「命売ります」 ポップな三島よこんにちは

三島由紀夫の小説「命売ります」の舞台化。

 

初読で感じた、わくわく。

三島由紀夫の作風のふり幅に、比喩に心躍ったのを覚えている。

今年(2019)の1月にドラマ化もされている。

 

衣装の雰囲気も合わさり登場人物がキャラクター化され

とても舞台らしい、三島由紀夫の作品だと忘れてしまうくらい

コミカルでカラフルな「三島入門」にはうってつけな作品となっていた。

 

 

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ミラクルエッシャー展2018

M.C.エッシャーの「上昇と下降」に会いに行った。

 

わたしの中では、伊坂幸太郎さんの「ラッシュライフ」がよぎる。

…というかそれしかなかった。

 

エッシャーの作品は中学や高校の美術の教科書に

必ず載っている。

たいていマグリットと一緒に掲載されている。

その頃からなんとなくエッシャーはすきだった。

ずっと視ていられた。

 

空間が破綻した絵を描く課題があって、

正しい空間にしなくて良いかんじがわたしに合っていたのか

楽しくできた気がする。

 

 

伊坂さんの作品内で登場人物たちがそれぞれ、

あれこれと「上昇と下降」について思いを巡らす。

 

それを読んだとき、そんな見方もあるのかと驚いた。

作品は自由なんだ、と思った。

 

 

そして高校では、エッシャーの「眼」を模写する時間があった。

 

見本をよく見て、まつげの一本一本をゆっくり描いていくんだよ

 

そう教えてくれた笑顔がかわいいおじさん先生には

絵を描くとは、線をひくとは何かを教えてもらった。

時間を埋めるためのちょっとした課題だったけど、

そういうものにも、しっかり名作と呼ばれる美術に触れさせてくれた

先生に感謝だ、

 

 

 

会場は大混雑だった。

夕方に入場したが、会場内はひとだらけ。

 

ちょっと嫌気がさして静かにじっくり眺めることは

叶わなかったが、教科書でしか見たことなかったものが

目の前に存在しているのは感動的で、

 

 

モノクロの作品で派手さは少なめだが、

やっぱり、印刷物の上では分からないオーラが

漂っていた。

 

 

図録を購入したから

会場の雰囲気を思い出しつつ、

エッシャーの作品とじっくり対話してみたいと思う。

舞台 「グッド・バイ」 ファッション太宰

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太宰治の「グッド・バイ」

原作を読みはっとした。

伊坂幸太郎さんの「バイバイ、ブラックバード」だ、と思った。

そういえばオマージュだという情報を何かで読んだ。

 

そして、wowwowで放送されていた連続ドラマ

「バイバイ、ブラックバード」で城田優さん演じた大女「繭美」は

キヌ子だろう。

 

その粗野でおおざっぱで豪快なキヌ子をゆうひさんが演じられるなんて…!

それはうれしさやワクワクのおどろき。

 

どの人物も衣装がとても舞台らしく、その人物を記号化する役割を担っているように

みえた。

キヌ子の光沢ある真っ赤なドレスは、まさに「美」の象徴。

あっけらかんで雑な言動だが、恐ろしく似合っている真っ赤なドレスと真っ赤な傘は

有無を言わせぬ説得力があった。

 

 全体

「グッド・バイ」を下敷きにしながら

本名 津島修治と作家 太宰治 の葛藤、その周辺の女性、

そのほかの作品を織り交ぜ、太宰という人物を解釈していくような舞台だった。

 

 

劇的で映像的なかっこいい演出が多く、雨音が川の水が揺らぐ音など

水の音が印象的だった。

 

…んが、ゆうひさんファンとしては

「生まれてすいません」というセリフはつら、かった、、かな。

あくまで役、なんだけど

 

 

そして太宰のこれまでの女性たちが集い酒を酌み交わすシーンは

なんだかホラーっぽく、太宰イコール暗いという

イメージの助長にならないかなぁとぼんやり思ったり。

でもギャグの一種なのかも、と思い直してみたり。

 

 

中高生のころは太宰を読んでいた。

おもしろおかしく読んだ。

私にとって太宰はまじめに面白いことを言ってのける人だと思っている。

真剣に生きているのがなんかおかしい、みたいな。

 

 

チェーホフの「かもめ」の登場人物たちや「男はつらいよ」の寅さんみたいに、

一生懸命生きていて本人は大真面目だけど、

はたから見ればちょっとおかしくて、ずれてるんだよなぁ、みたいなそんな人。

 

 

 

 

 

パンフレットの中で脚本演出の山崎彬さんが、

10代のころに太宰を読み、あっという間に通り過ぎたといっている。

「どこかファッションのような感覚」と。

 

まさに。

大学で「人間失格」を読み解いたとき、教授も言った。

「人間失格を読みわたしの研究室を訪ねた学生が言った。これは自分だ、と」

しかしそれは「一種のファッション」なのだ、と。

 

 

わたしもご多分に漏れず、太宰を通ってきた。

けれどしばらくご無沙汰だった。久々に彼の作品(特に後期)を読み、

やっぱりおもしろいなぁ…!とかんじた。

 

ひとつまえに三島由紀夫の「金閣寺」を読んでいたので、

その文章の軽妙さや素直さに驚き、太宰治のひとりごとを延々聞かされているような

感覚になった。

 

 

いや、三島の飾る美しい文章もすきなのだ。

彼の作品には美男美女が登場するし、その描写がすき。

 

 

作中の文章を切り取ると、それはたちまち彼のほんとうの言葉のように感じる。

登場人物のセリフ、ではなく、太宰治のことば、のような。

まさに「ラブレター」なのかもしれない。

 

たまには太宰を着飾ってみてもいいかもしれない、

そんなふうに思えた。