デザイラストレーターの演劇もろもろレポ

本のこと、物語のことを考えているフリーランス/デザイラストレーター。 高等学校教諭免許(国語)保持 主に読んだ本のことや舞台観劇レポ。 ◆Twitter @mei_le20

舞台「唐版 風の又三郎」観劇レポ わからない面白さ

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Bunkamura シアターコクーン「唐版 風の又三郎」

演出:金守珍

 

※一度しか観劇していないので、解釈違いがあるかと

思いますが、ご了承ください<(_ _)>

 

唐 十郎作品2度目の観劇。

6年前の「唐版 滝の白糸」以来。

 

精神病院から逃げてきた青年 オリベ(窪田正孝)と

宇都宮から流れてきたホステスのエリカ(柚希礼音)が

東京の下町、月光町で出会う。

おそらく、「恋愛劇」

 

 

滝の白糸で受けた衝撃はそのままで、

圧倒的な言葉の美しさ、歌うように流れるセリフ回しもそのままで

思わず口が動きそうになった。

たのしい、言葉遊び大会。

 

 

「耳の中が冥府の入り口」

「空は柘榴のように開いているのかい?」

 

思わず想像してしまう劇的な比喩。

色彩的で、それでいて、ごたついていない。

 

窪田くんの、曇りないよく通る声で発せられるセリフは、

誠実で、誠実すぎて泣ける。

6年前の危うさを持ち合わせたアリダは消え、

彼は完全にしっかりと「狂人」であった。

 

ラストシーンへ向けて畳みかけるように

エリカとの長台詞で見せたオリベの目は、

息をのむような緊迫した表情を浮き彫りにしていた。

 

その目に、ふいに衝撃を受けた。

まさに、「打たれた」といっていいほど。

そして同時に、最高にこわくて打ちのめされた。

照明に、音楽に、空間を創っているすべてが

目の前で起こっている「事件」を美しく仕立て上げていて、

その全力におののいた。

 

この「目撃してしまった」感。

 

最高すぎる。

 

エリカは又三郎なのか。

又三郎は男なのか、女なのか。

 

そのなんとも曖昧な役どころを

もと宝塚男役トップスターの柚希さんが

好演されていた。

彼女は、時に軽やかな青年に、時に雄々しく歌い上げ、

時に色っぽい女性へと変幻自在だ。

 

 

 

どんな話だった?

と聞かれて、簡潔に説明なんてとてもできない。

でも、それで正解。きっと正解。

 

なんかよくわからなかったけど、

ラストの大飛行に出くわしてしまっただけで、

「なんかめっちゃいいの観たわ…」

という気持ちになる。

 

これは一種のカタルシスなのではないか。

 

 

アニメーションや映画のように

人物の心情を同じ時空で表現してしまう自在さ。

パンフレットでは役者の方々が口をそろえて

「わからなさ」を楽しんでいる。

 

体当たりな演出もいくつかあり、

アングラ演劇の猥雑さも、わたしには新しく映る。

 

 

又三郎がズボンをぬぐことに何の示唆が含まれているのか?

エリカが心臓(人肉だったか…?)を口に含むことには?

食べるとは?

 

 

考えたいことがつきず、

とりあえずもう一回くらいは観劇しないと…

 

2019 3/3まで!

 

 

 

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