桜庭一樹の「荒野」を読んで思うこと。恋とはなにか?と聞かれたら…
スポンサーリンク
読書が苦手。最後まで読んだことがない。
そんな子に、何か読みやすいのない?、と聞かれたら…(積極的に聞かれたい)
まずは桜庭一樹さんの「荒野」をすすめてみる。
想定年齢は小学校高学年から高校生。
そんなあなたに(でなくても)読んでみてほしい。
ある装丁家さんがいつの日かの、雑誌「ダ・ヴィンチ」で彼女の作品群を「不道徳的」と評していて言い得て妙だなと膝を打った。
その「王道」じゃない歪みが中高生の頃には一番近くて、心地よくて信頼できる。
主人公は、山野内 荒野ちゃん。
中学の入学式から物語はゆっくりと動き出す。
彼女は、特殊な環境と周りの人間に翻弄されながら、ゆれてゆれて頼りなさげな姿を見せるが、
その実、気づけば自分の頭で考えて歩むことができる女の子になっているのである。
彼女は変わることを恐れる。
時間よ止まれ。
できるならば、わたしたちをこれ以上変えないで。
荒野 (文春文庫)
わたしがこの作品にはじめて出会ったのは、高校一年生だった。
高校の図書館で借りて、返却して、また気になってもう一度借りた。
荒野ちゃんと同様、その頃のわたしは変化が怖い人間だった。心地いい友だちと永遠とも思える教室での日々がこの先ずっと続けばラクなのに。なんて。
でも現実は気づかないところでやっぱり進んでいるし、わたしは観念するしかないと寂しい気持ちでいた。
そんなときの、「荒野」である。
身近な友だちがひとり増えたような気持ちになるくらい、彼女は平凡でわたしととても近いように感じられた。
大学で、西洋美術を教えてくれた教授はこんなことを言った。
「カニグズバーグとかジャック・ケルアックとか、ある程度年齢を重ねたときに読んだから、あまり物語に入り込むことなく俯瞰して読んじゃった。もっと若い時に読んでいれば違う感想を抱いたかも知れない」
時間は取り戻せない。
「荒野」を読んで出会った感情や、感じた疑問・人物への共感。
すべてを忘れたくないと思う。
高校生の自分でしか感じられなかった感情を、忘れたくないと願う。
あのときの感情を思い返すことはできても、新鮮に出会うことは二度とない。
これが、今のわたしが「荒野」を読んで思うこと。
ところで、「恋」とは何だと思いますか?
恋、、鯉、来い、コイ、こい……
恋とは、「独占欲」「相手を知りたいと思うこと」「愛の前段階」…??
平凡で静かな荒野ちゃんは、ひとりの男の子と出会い、警戒しつつも気になる存在となる。
彼は、神無月悠也。名前からもう、いけめん。
中学一年というのに、どこか大人びて文庫片手にジャズなんか聞いている。
そんな彼が 「恋とは…」と頭を悩ます彼女の疑問にぼそりとつぶやく。
「……恋って」
あぁ、そんな見方もあるなぁ。
言われればストンと腑に落ちるが、高校生のわたしにはその言葉はちょっと意外に感じられた。
割と冒頭に出てくるエピソードなので、ぜひ一度手にとって一読してみては。
ブログ村のランキングに参加しています(^^)
ぽちっと応援クリックお願いします。↓↓