デザイラストレーターの演劇もろもろレポ

本のこと、物語のことを考えているフリーランス/デザイラストレーター。 高等学校教諭免許(国語)保持 主に読んだ本のことや舞台観劇レポ。 ◆Twitter @mei_le20

舞台『黒蜥蜴』2019 観劇レポ 踊ることば

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踊ることば

三島の言葉が踊っている。

中谷美紀さん扮する黒蜥蜴の第一声を

聞いて即座に感じた。

 

流れるように台詞が発せられ、

まるで歌っているかのよう。

 

美しいことにこだわり抜いた三島らしい

流麗な言葉と独特な心理描写。

 

ドラマチックな音楽は生演奏で一層

世界観に厚みを持たせ、

スピーディーな場面転換が

わたしたちを不気味で恍惚とした世界へと

手繰り寄せる。

 

まんまと嵌まった。

 

井上芳雄さん演じる明智小五郎像は

私にとって新しかった。

 

彼の声色なのか、

なかなか若々しくて活気ある雰囲気を

発しており、心の内の熱い何かを燃やしているように

挑戦的に映った。

 

雨宮潤一役の成河さんは、

真に狂気を感じた。

乱歩に出てくる「アブナイ奴」そのもののようで

何度も

「キ、キモチワルイ…!」

とおののいてしまった。(もちろん良い意味)

それくらい突き抜けていたし、

乱歩と三島、

そして音楽、セットに負けないぶっ飛び様で

一番、作品と調和していたように感じる。

 

 

音楽はサウンドトラックがほしくなってしまうくらい素敵で、

あやしく不穏な空気がよく現れていた。

音楽大事としみじみ、、

 

 

小説や戯曲など

言葉は目で追うだけでも楽しめるが

やはり人の声で発せられ、

空気中に舞ったとき発揮するチカラが好きだ。

 

感情が込められ、紙の上で生きていた人物が

目の前に現れる。

 

ぞわぞわした。

 

乱歩が生み出した世界の人物であるから余計に

 

ぞわぞわ。

 

三島版『黒蜥蜴』を読んでみたくなった。

その言葉を口にしてみたく

なった。

 

 

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 日生劇場 

デヴィッド・ルヴォー演出 『黒蜥蜴』