デザイラストレーターの演劇もろもろレポ

本のこと、物語のことを考えているフリーランス/デザイラストレーター。 高等学校教諭免許(国語)保持 主に読んだ本のことや舞台観劇レポ。 ◆Twitter @mei_le20

舞台「アンチゴーヌ」 紀元前5世紀の真理

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人のパワーと言葉に圧倒された。

泣いた。ふるえた。

 

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自分の信念にまっすぐ従い、最愛の人と決別してでも

貫こうとしたアンチゴーヌは、清々しささえも纏い生命力に満ちあふれていた。

 

クレオン王とアンチゴーヌの対立シーンで

なにか突然涙があふれた。

 

蒼井優さんとアンチゴーヌが

限りなく合わさって

狂気に満ちていた。

あまりにも強くて、確信に満ちた表情の彼女は

まさに、、無敵。

 

縦横に舞台上を駆けクレオンに迫り

その自由さと揺らぐクレオンという構図は

やるせなさが漂う。

 

 

 

衣装がギリシャ悲劇らしさを出しながらも

男性の服装は19世紀のイギリス紳士のような

スーツという着こなしで

すぐに世界観に入り込むことが出来た。

すてきだった。

 

「大衆/個人」「国家/社会」「理想/現実」

2018年を生きる私たちにも痛いほど伝わる

いくつものテーマ。

これを、紀元前5世紀に生み出していたなんて…

 

国籍も年代もまったく接点のない人が

生み出したものが

日本に生きるわたしに届き、

目撃してしまい、思い掛けず

共鳴してしまった瞬間、

 

人種や言語など

「個」を形成していく

あらゆる情報が

ぺらぺらとはがれ落ちて

ただの人間のカタチだけが

残った。

 

その物体をならべていくと、

きっとみなおんなじなんだろう。

 

 

 

 

舞台を上演する際、

かならず

「今上演する意味」があると

学生時代教わった。

 

その言葉を強く意識した

作品を久々に観た

気がした。