舞台「アンチゴーヌ」 紀元前5世紀の真理
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人のパワーと言葉に圧倒された。
泣いた。ふるえた。
自分の信念にまっすぐ従い、最愛の人と決別してでも
貫こうとしたアンチゴーヌは、清々しささえも纏い生命力に満ちあふれていた。
クレオン王とアンチゴーヌの対立シーンで
なにか突然涙があふれた。
蒼井優さんとアンチゴーヌが
限りなく合わさって
狂気に満ちていた。
あまりにも強くて、確信に満ちた表情の彼女は
まさに、、無敵。
縦横に舞台上を駆けクレオンに迫り
その自由さと揺らぐクレオンという構図は
やるせなさが漂う。
衣装がギリシャ悲劇らしさを出しながらも
男性の服装は19世紀のイギリス紳士のような
スーツという着こなしで
すぐに世界観に入り込むことが出来た。
すてきだった。
「大衆/個人」「国家/社会」「理想/現実」
2018年を生きる私たちにも痛いほど伝わる
いくつものテーマ。
これを、紀元前5世紀に生み出していたなんて…
国籍も年代もまったく接点のない人が
生み出したものが
日本に生きるわたしに届き、
目撃してしまい、思い掛けず
共鳴してしまった瞬間、
人種や言語など
「個」を形成していく
あらゆる情報が
ぺらぺらとはがれ落ちて
ただの人間のカタチだけが
残った。
その物体をならべていくと、
きっとみなおんなじなんだろう。
舞台を上演する際、
かならず
「今上演する意味」があると
学生時代教わった。
その言葉を強く意識した
作品を久々に観た
気がした。